患者の医療機関のトラブルの中には、患者のほうに非があるものもあります。中でも問題となっているのが、一部の患者が医師や、看護師、薬剤師などの医療関係者に危害を加えたり、暴言を吐いたりする「モンスター・ペイシェント」の増加です。クレームをつけられたことに思い悩んで、うつ病になってしまう医師、看護師も少なくありません。ある調査では、回答のあった病院のうち、「1年間で職員に対する院内暴力(身体的暴力・セクハラなど)があった」という病院は50%以上に上りました。「職員に対する院内暴力・暴言が起こるのではないか」との不安を持っている病院は、60%以上もありました。モンスター・ペイシェントの被害に合わないようにするためには、まず、日ごろから医療関係者が患者とコミュニケーションを取り、良好な関係を築く努力をすることが大切です。また、患者からの意見、苦情、要望を受ける場所を明確にして、院長、副院長などの管理者が迅速に対応する必要があります。その上で、院内で患者による暴力・暴言がどの程度発生しているか実態を把握し、組織として職員を守る体制を作ることも重要です。職員が暴力・暴言を受けたときには、すぐに管理者がその事実を把握できるように匿名の目安箱のようなものを設定して、逃げ道の確保、防犯カメラの設置も検討課題です。暴力行為の発生時には警察を呼び、被害者の心のケアも忘れないようにすることも重要になってきます。